
車庫証明とは、所有している自動車の保管場所があることを証明する公的な書類で、正式名称は「自動車保管場所証明書」といいます。
道路などへの不法駐車を防ぐため、自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)により、車の所有者は車の保管場所を確保していることを証明することが義務づけられているのです。
車庫証明の手続きが必要になるタイミングは大きく分けて4つあります。
新車や中古車を購入した際は、自動車登録を行いナンバーを取得する際に車庫証明が必要となります。
また、引越しや単身赴任などで使用の本拠の位置が変わる、つまり車を実際に使用している拠点(個人の場合は住居、法人の場合は事業所など)が変わる場合の手続きにも車庫証明が求められます。
住所は変わらないが駐車場が変わる場合には、自動車の保管場所変更届出とともに車庫証明を提出します。
さらに、車を売買・譲渡して所有者が変わる際には、車の名義変更(移転登録)を行いますが、その際も車庫証明が必要です。
軽自動車の場合、原則として車庫証明は不要ですが、地域によっては同様の手続きとして「保管場所届出」が必要となります。
保管場所(駐車場)のある地域が該当するか、管轄の警察署のホームページを確認するか、直接問い合わせてみましょう。
まず、車庫証明の取得には保管場所(駐車場)がいくつかの条件を満たしている必要があります。
これらの条件について、以下で詳しく解説していきます。
駐車場として認められるためには、その場所が「道路」でないことが必須です。道路を特定の車両を保管するために占有することはできません。
例えば自宅の車庫や月極駐車場など、道路とは明確に区切られており、駐車スペースが確保されている必要があります。
車庫証明の取得には、使用の本拠の位置(自宅や職場)から駐車場の距離が2km以内であることも求められます。これは、自動車の保管場所が活動拠点から著しく離れている場合、実際には利用されず違法駐車や放置車両の問題を引き起こす可能性があるためです。
この距離は一般的には地図上での直線距離により計測されるため、駐車場を探す際は、地図アプリなどを活用して自宅や職場との距離が2km以内か確認しておくことが重要です。
保管場所(駐車場)の広さについても条件があり、車両全体がはみ出すことなく収容できるスペースが確保されていなくてはなりません。車の全長、全幅、全高に対して、十分な余裕があることを確認しておきましょう。
法律で厳密に規定されているわけではありませんが、国土交通省による駐車場整備の指針「駐車場設計・施工指針」では、以下のように駐車場サイズの基準値が記されています。
また、出入口や前面道路の幅員も重要で、車両の入出庫がスムーズに行える広さが求められます。
なお、車庫証明の条件からは逸脱しますが、現実的に使いやすい駐車場のサイズを考慮するのであれば、ドアの開閉や運転席・助手席・後部座席からの乗り降り、荷物の積み下ろしのスペースなども加味して駐車場のサイズを選ぶことをおすすめします。
車の所有者はその駐車場を保有している、もしくは駐車場の保有者から使用承諾を得ていることを証明する必要があります。
自宅にある車庫を使うなど、車の保管場所が自己保有の場合は保管場所使用権原疎明書面(自認書)を、他人の駐車場を借りる場合は保管場所使用承諾証明書を提出しましょう。
では、車庫証明の取り方について4ステップで解説していきます。
まずは車庫証明に必要な書類を手に入れましょう。警察署にて申請書類一式を入手できます。窓口に直接赴くことで、記入例も一緒に受け取ることができたり不明点があれば確認することができるためおすすめです。
また、一部地域では警察署のホームページからダウンロードすることも可能なため、窓口に行く時間がない場合はインターネットで調べてみるとよいでしょう。
なお、車を購入した際にディーラーや販売店にて申請書類を用意してもらえるケースもあります。
<車庫証明に必要な書類>
※申請書類は各警察署で異なる場合があります。
車庫証明を取るためには、申請書類を正確に記入することが不可欠です。不備があると再提出を求められ時間がかかってしまうため、慎重に記入しましょう。
申請書類は、鉛筆ではなく黒のボールペンまたはインクで楷書で記入します。訂正が必要な場合は、修正テープや修正液は使用せず、二重線を引き、訂正印を押印してください。
書類ごとの詳しい注意点は後述の必要書類リストにて解説します。
書類の記入が済んだら、車の保管場所(駐車場)を管轄する警察署の交通課へ提出します。
窓口の受付時間は平日午前9時~午後5時であることが多いですが、警察署によるため事前に調べておきましょう。また、土日祝日や年末年始は休みのため注意が必要です。
申請書類の提出と併せて申請手数料の支払いが必要になります。申請手数料は地域によって異なりますが2,000~3,000円程度です。あらかじめ調べて用意しておきましょう。
また、書類に不備が見つかった際にすぐ訂正できるよう、訂正印としてはんこを持っていくこともおすすめします。
書類が無事受理されると「納入通知書兼領収書」(引換証など書類名は各警察署で異なります)が貰えます。これは車庫証明を受け取る際に提出する必要があるため、なくさないよう保管しておきましょう。
車庫証明は家族や知人、ディーラー、行政書士など代理人による申請もできます。その際、必須ではありませんが万が一の書類不備に備えて、加筆修正を代理人に委任する旨を記載した委任状を用意しておくと安心です。
なお、警察署によっては追加の書類提出を求められる場合があるため、事前に確認しておくことが望ましいです。
車庫証明は申請して即日交付されるわけではなく、そこから書類確認や警察による現地調査が行われるため、交付までには通常2~7日程度かかります。申請時に受取日が伝えられるので、改めて警察署に受け取りに行きましょう。
申請時に貰った「納入通知書兼領収書」を提示することで、車庫証明を受け取れます。
車庫証明に必要な書類は以下の通りです。
それぞれの記入項目と注意点について解説していきます。
自動車保管場所証明申請書は、車のメーカー・型式・車体番号やサイズといった車に関する情報と、使用の本拠の位置、自動車の保管場所の位置を記入する書類です。
使用の本拠の位置は、個人の場合は住居、法人の場合は事業所の住所を書きます。自動車の保管場所の位置については、駐車場の契約書などを参考に、正確に記入しましょう。
保管場所の所在図は、駐車場がどこに位置しているかを明確にするための地図です。使用の本拠地(自宅や職場)と駐車場の位置関係と距離を記入します。
手書きでなく、地図アプリを印刷し本拠地と駐車場の場所、直線距離をペンやマーカーで記載したものを提出してもよい地域もあります。管轄の警察署の記入例を確認するようにしましょう。
配置図は、駐車場内の車の配置を示す図面です。駐車場のサイズや出入り口のほか、駐車場に接する道路の幅員や、周囲の構造物との関係を明確に記載する必要があります。こちらも記入例に倣って作成しましょう。
なお、駐車場は変わらず、車を買い替える場合などは所在図を省略することができます。
保管場所使用権原疎明書面(自認書)は、駐車場が自分の所有物である場合に必要となる書類です。
自分が所有者でない駐車場を契約している場合は、本書類は提出不要となります。
保管場所使用承諾証明書は、駐車場を契約している場合に必要です。駐車場の所有者(オーナーや管理会社など)に記入してもらう必要があります。
自分で土地や建物を所有している場合、本書類は不要で、代わりに前述の保管場所使用権原疎明書面(自認書)を提出します。
車庫証明では申請手数料がかかります。これらの費用は、都道府県や地域によって金額が異なりますが、大体の金額は以下の通りです。
現金で支払う場合が多いですが、都道府県によっては収入証紙で支払う場合もあります。手続きの際に忘れないよう用意しておきましょう。
車庫証明は書類提出・申請してから交付されるまでに通常2~7日程度かかります。
さらに、書類に不備が見つかった場合は再提出が必要となりますし、警察の現地調査で駐車場のサイズが狭すぎる、駐車スペースに物が置かれており保管場所として機能していないといった問題が見つかった場合、再調査や修正申請を求められ、さらに車庫証明交付までに時間がかかります。
車を購入した際、車庫証明が間に合わないと納車日を遅らせることになってしまいます。また、引越し等で住所が変わったり駐車場が変わった場合には、15日以内に届け出なければなりません。
予定日や期日から逆算し、余裕をもって車庫証明の手続きを行いましょう。
駐車場選びの段階で、車庫証明の要件を満たしているかをしっかりと確認する必要があります。
使用の本拠地(自宅や職場)から直線距離で2km以内か、車のサイズに対して十分な広さがあり、道路にはみ出してしまうようなことがないかに注意しましょう。
出入口や前面道路の幅員が狭くて車庫証明が下りないケースもあるため、そちらも十分に確認しましょう。
また、警察の現地調査の際に別の車が駐車している場合、保管場所が確保できていないとみなされる可能性があります。前車や代車を停めている場合は、あらかじめその旨を車庫証明申請書類に記載しておきましょう。
車庫証明の取得には、まず要件を満たす駐車場を見つける必要があります。
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