
引越しは、生活の拠点を移す大きなイベントです。住民票の移動やライフラインの手続きなどやるべきことが山積みですが、自動車を保有している方は「車庫証明」の手続きも忘れてはいけません。
この記事では、引越しに伴う車庫証明の手続きについて、いつまでに、どこで、何をすべきかを分かりやすく解説します。
「車庫証明」とは、正式には「自動車保管場所証明書」といい、自動車の保管場所(駐車場)がきちんと確保されていることを証明するための公的な書類です。自動車を新たに購入したり譲り受けたりした際や、所有者の住所や駐車場が変わった際に取得する必要があります。
この制度は、自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)に基づいており、路上駐車といった交通の妨げとなる行為を防ぎ、道路交通の安全と円滑化を図ることを主な目的としています。
引越しによって自動車の「使用の本拠の位置(個人の場合は居住地)」が変わると、原則として新しい住所に基づいた車庫証明を新たに取得する必要があります。車検証の住所変更手続きを行う際には、新しい住所に基づいた車庫証明書の提出が求められるため、引越しをしたら速やかに車庫証明の手続きを行いましょう。
なお、もし引越し後(=使用の本拠の位置が変わった後)も同じ駐車場を使い続けるとしても、車庫証明の取得は必要ですので注意しましょう。
基本的には、引越しに伴い「使用の本拠の位置」が変われば車庫証明の住所変更手続きが必要ですが、一部例外的なケースも存在します。
軽自動車の場合は「車庫証明(自動車保管場所証明書)」は不要です。ただし、一部地域では「保管場所届出」が必要となります。引越し先が保管場所届出の必要な地域かどうか、警察署の交通課に問い合わせるか、警察署のWebサイトを確認してあらかじめ調べておきましょう。
保管場所届出の手続きについてはこちらの記事をご参照ください。
軽自動車の車庫証明「不要」は本当?必要な地域や申請手続きを解説
一部の地域(主に村や離島など、人口密度が低い地域)では条例により、普通自動車であっても車庫証明が不要とされている場合があります。このような地域に引越した場合は、車庫証明の手続きは必要ありません。
ただし、これはあくまで限定的なケースであり、ほとんどの地域では車庫証明が必要です。ご自身の引越し先が車庫証明不要地域に該当するかどうか、事前に引越し先の管轄の警察署に確認することをおすすめします。
車庫証明の手続きには、期限や申請場所、そして怠った場合のペナルティがあります。重要なポイントをしっかり押さえておきましょう。
車庫法第7条により、引越しなどで駐車場を変更した場合、変更があった日から15日以内に届け出ることが定められています。
引越しで住所が変わった後は、15日以内に車検証の住所変更も行う必要があります。その際に新しい住所での車庫証明が必要になるため、引越し後の車庫証明は、車検証の手続き期限(15日以内)よりも前に済ませる必要があります。
なお、車庫証明は警察署での申請から交付までに通常2~7日程度かかります。さらに車庫証明の手続きを行う警察署、車検証の手続きを行う運輸支局の窓口は、土日祝日に開いていなかったり平日も受付時間が限られています。これらを考慮したうえで、期限に間に合うよう速やかに手続きを進めましょう。
もし、正当な理由なく15日以内の車庫証明を怠った場合には、車庫法に基づき10万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、車検証の住所変更を15日以内に行わなかった場合、道路運送車両法に基づき50万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
さらに罰金だけでなく、車検証の住所変更を行っていなければ自動車税の納税通知書が新しい住所に届かず延滞につながったり、メーカーからのリコール情報が受け取れなかったりするなど、さまざまな不都合が生じる可能性も出てきます。必ず期限内に適切な手続きを済ませましょう。
それでは、具体的に引越し時の車庫証明住所変更手続きの流れを、4つのステップに分けて詳しく見ていきましょう。
まず最初に、引越し先で自動車を保管するための駐車場を確保しましょう。ご自宅に駐車場が併設されている場合は問題ありませんが、そうでない場合は、月極駐車場や賃貸マンション・アパートの付属駐車場などを探す必要があります。
月極駐車場を探す主な方法としては、以下のようなものがあります。
条件の良い駐車場はすぐに埋まってしまうことも少なくありません。引越しが決まったら、なるべく早く駐車場探しを始めることをおすすめします。
車庫証明を取得するためには、駐車場が以下4つの条件を満たしている必要があります。必ずすべての条件を満たす駐車場を契約しましょう。
駐車場を契約する際には、車庫証明の申請に必要となる「保管場所使用承諾証明書」をいつ発行してもらえるか、発行手数料がかかるかを確認しておきましょう。
駐車場が無事に確保できたら、次に車庫証明の申請に必要な書類一式を準備します。
必要書類は管轄の警察署窓口で直接受け取るか、各都道府県警察の公式Webサイトからダウンロードして印刷することで手に入れましょう。
なお、これらの必要書類の記入項目と注意点については、後述の「車庫証明の必要書類」にて詳しく解説します。
必要書類がすべて揃ったら、いよいよ申請です。引越し先の新しい駐車場の所轄の警察署にて書類を提出します。また、書類と併せて申請手数料も支払います。この手数料は、現金ではなく「収入証紙」という形で納付するのが一般的です。警察署で収入印紙を購入できるか、また金額はいくらかを事前に調べておくとスムーズです。(申請手数料は地域によって異なりますが2,000~3,000円程度です。)
申請時に交付予定日が記載された引換券のようなもの(「納入通知書兼領収書」「引換証」など名称は各警察署で異なります)が渡されます。車庫証明書を受け取る際にはそちらを提出する必要があるため、なくさないように大事に保管しておきましょう。
警察署の窓口が開いている時間は平日の日中(午前9時~午後5時など)であることが多いです。土日祝日や年末年始は閉庁しているため、事前に受付時間を確認してから訪問するようにしましょう。
また、提出する書類に記入漏れや記載ミス、添付書類の不足などの不備があると、受理されず再提出を求められることがありますので、提出前にすべての書類を念入りにチェックしましょう。軽微なミスであればその場ですぐ訂正できるよう、訂正印として印鑑をもっていくこともおすすめです。
申請書類が無事に受理されると、警察署内で内容の確認や現地調査(実際に駐車場が存在し、適切に使用できる状態かなどの確認)が行われます。これらの審査を経て問題がなければ、「自動車保管場所証明書(いわゆる車庫証明書)」が交付されます。
車庫証明書が交付されるまでの期間は、申請書類を提出してから概ね3営業日から7営業日程度(土日祝日や年末年始を除く)が一般的です。ただしこれはあくまで目安であり、警察署の混雑状況や申請内容、現地調査の状況などによって変動することがあります。申請時に窓口で交付予定日を確認しておきましょう。
申請時に貰った引換券(納入通知書兼領収書など)と引き換えに、車庫証明書を受け取りましょう。
車庫証明に必要な書類は以下の通りです。
それぞれの記入事項と注意点について解説していきます。
これが車庫証明のメインとなる申請書です。車名、車台番号、自動車の大きさなど自動車に関する情報や、使用の本拠の位置と保管場所の住所、申請者の情報などを記入します。車検証や住民票を見ながら、正確に記入しましょう。
これは、自動車の保管場所(駐車場)の具体的な場所を示すための図面です。通常、1枚の用紙に「所在図」と「配置図」の両方を記入(または添付)する形式になっています。
「所在図」は、使用の本拠の位置(自宅)と保管場所(駐車場)の位置関係を示すための略図です。自宅と駐車場、そしてその周辺の主要な建物など(駅、学校、交差点名など)を記載し、それぞれの位置関係が分かるようにしましょう。また、自宅と駐車場を直線で結び、その間の直線距離を記入する必要があります。「配置図」は、駐車場のレイアウトや寸法を示す図です。駐車場の出入り口、駐車場が接している道路の幅員、ご自身が使用する駐車スペースの正確な位置(区画番号など)を明記します。
駐車場の土地や建物が、申請者自身の所有である場合に提出します。
自分が所有者でない駐車場を使う(月極駐車場を契約しているなど)場合は本書類は提出不要で、その代わりに後述の「保管場所使用承諾証明書」を提出する必要があります。
駐車場が申請者以外の所有であり、その場所を借りて使用する場合に提出します。月極駐車場を契約した場合や、賃貸マンション・アパートの駐車場を利用する場合などがこれに該当します。
駐車場のオーナーや不動産会社に発行、記名押印してもらう必要があるため、早めに発行を依頼しておきましょう。また、発行手数料がかかる場合があるため、金額や支払いタイミングについても事前に確認しておきましょう。
平日の日中に警察署へ行く時間がない、手続きが煩雑でよく分からない、という方のために、車庫証明の申請手続きは第三者に代行してもらうことも可能です。
引越しに伴って新たに自動車を購入する場合は、ディーラーや中古車販売店に依頼することが可能です。また、行政書士に代行依頼することもできます。書類作成から警察署への申請・受領まですべての手続きをプロに任せられることは大きなメリットですが、代行手数料がかかることはご留意ください。また、専門家に依頼せずとも、家族や知人などに代行してもらうことも可能です。
代理人が申請する場合に備えて、書類に不備があった際の加筆修正を代理人が行えるよう、あらかじめその旨を記載した委任状を用意しておくと安心です。ただし、申請書類の「申請者」欄に代理人の情報を記載することで委任状が不要とされる場合や、軽微な修正であれば委任状なしでも対応できる場合もあります。こうした運用は警察署によって異なるため、事前に管轄の警察署へ確認しておくのが確実です。
引越しの際には、車庫証明の他にも、自動車に関連していくつかの住所変更手続きが必要です。漏れがないように、まとめて確認しておきましょう。
車庫証明書を取得したら、次に行うのが車検証(自動車検査証)の住所変更です。これは、新しい住所を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所で行います。前述の通り、住所変更から15日以内に手続きを済ませる必要があります。
引越しによって車検証を交付する運輸支局の管轄が変わる場合(例:品川ナンバーの地域から横浜ナンバーの地域へ引越した場合など)は、ナンバープレートも新しいものに変更する必要があります。この手続きは、車検証の住所変更と同時に行います。
運転免許証の住所変更は、新しい住所を管轄する警察署の運転免許課窓口や運転免許センターで行います。明確な期限は定められていませんが、タイミングによっては運転免許の更新通知はがきが引越し後の住所に届かない可能性があるため、住所が変わったら速やかに手続きを行いましょう。
加入している自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)および任意保険についても、保険会社に連絡して住所変更の手続きを行う必要があります。これを怠ると、重要な通知が届かないなどの不都合が生じる可能性があります。
A1. いいえ、手続きは必要です。「使用の本拠の位置(居住地)」が変わった場合は、たとえ駐車場の場所が変わらなくても、新しい住所に基づいて車庫証明を取り直す必要があります。
A2. いいえ。引越しはせず(=使用の本拠の位置は変わらず)駐車場のみが変わった場合は、車庫証明の保管場所変更届出が必要となります。手続きは通常の車庫証明と似ていますが、「自動車保管場所証明申請書」ではなく「保管場所届出」の提出が求められるなど、若干の差異があります。詳細な必要書類や手続きについては、駐車場のある地域の警察署にお問い合わせください。
A3. NGです。実際に車を使用・保管している場所と異なる場所で車庫証明を取得することは「車庫飛ばし」といわれる違法行為にあたり、罰金の対象となる可能性があります。必ず実際に使用する保管場所で申請してください。
A4. 警察署で発行された車庫証明書の有効期間は、概ね発行日から1ヶ月程度とされています。この期間内に、運輸支局などで車検証の住所変更手続きを行う必要があります。有効期間を過ぎてしまうと、再度車庫証明を取り直さなければならない場合があるので注意しましょう。
引越しに伴う車庫証明の住所変更手続きは、自動車ユーザーにとって避けては通れない重要な手続きです。特に月極駐車場を新たに契約する場合は、「保管場所使用承諾証明書」の取得など、早めの準備が肝心です。
手続きの期限は引越し後15日以内と定められています。必要な書類を事前にしっかり確認し、計画的に準備を進めることで、スムーズに手続きを完了させることができます。この記事で解説した流れや注意点を参考に、ミスのない車庫証明手続きを行い、快適なカーライフを送りましょう。
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